相場展望9月20日 米国株に懸念材料、経験則通り9月後半は軟調 日本株、急ピッチ上昇の反動と米株連動で一服

2021年9月20日 08:05

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)9/16、▲63ドル安、34,751ドル(日経新聞)
  ・小売売上高、フィラデルフィア製造業指数の発表を好感し消費関連株が買われた。小売売上高は前月比+0.7%増と市場予想に反して増加し、米消費は底堅さを保っていると受け止められた。
  ・もっとも、新型コロのデルタ型変異株の感染拡大で、米景気の減速懸念は根強く、消費関連株以外に買いが広がらなかった。
  ・原油相場の上昇が一服し、石油株は全面安となった。資本財など景気敏感株も売られて相場の重荷になった。

【前回は】相場展望9月16日 米国次の焦点は、(1)増税 (2)消費者物価の株価反応 日本株は買戻し高、次は中長期投資家の買い期待

 2)9/17、NYダウ▲166ドル安、34,584ドル(日経新聞)
  ・米景気の減速懸念や、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和縮小の見通しなどを背景に、市場は慎重ムードが漂った。景気敏感株や主力ハイテク株に売りが先行し、相場を重くした。
  ・FRBは9/21~22に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。テーパリング(量的緩和の縮小)開始の決定は見送られそうだが、年内開始を強く示唆する公算が大きい。そのため、相場の反応が読みづらく、投資家の間には警戒感がくすぶっている。
  ・中国の不動産大手「中国恒大集団」の資金繰り問題も市場心理を冷やしている。

●2.米国株に懸念材料があり、株式相場は経験則通り9月後半は軟調に推移すると予想

 1)NYダウ、SP500のチャートは軟調
  ・NYダウ: 今年1/29からの上昇支持線を割り込み、弱気へ。
  ・SP500: 2020年10/30からの上昇支持線まで下落し、転換分岐点に到達。

 2)懸念材料
  (1)米景気後退
   ・デルタ株感染拡大、ハリケーン被害の影響。

  (2)米長期金利の上昇
   ・10年国債利回りが9/17に1.368%に上昇。
   ・FOMC開催を9/20~21に控え債券の持ち高調整の売りが発生した。

  (3)インフレ上昇率は鈍化してきたが、依然として高水準に留まっている

  (4)債務上限引上げ問題が浮上
   ・共和党トップは、問題解決に向けて協力しないと、財務長官に伝達。
   ・9月末までに民主党・共和党で解決できなければ、10月から政府支出が制約され政府機関の閉鎖につながる。
   ・この問題は解決されると思うが、民主党の共和党への歩み寄りの内容に注目。

  (5)FRBによるFOMCでのテーパリングのタイミング  
   ・8月雇用統計の軟調と変異株拡大による消費者マインドへの影響が想定以上だったため、9/20~21のFOMC会合では決定が見送られる可能性が高くなった。ただ、方針は変わらず、「11月」の資産購入の縮小が協議される見方が強まっている。

  (6)大規模増税案の株式相場織り込みはこれから

  (7)大型財政支出法案可決の不透明感

  (8)感染拡大とワクチン接種率の動向が景気に影響を与える

  (9)9月に入り企業業績の下方修正発表が増加

●3.米共和党指導者は、債務上限引上げにおいて協力を拒むと、財務長官に伝達(フィスコ)

●4.米9月ミシガン大学消費者信頼感指数は71.0と、予想72.0を下回った(フィスコ)

 1)8月は70.3。

●5.米8月小売売上高は前月比+0.7%と、予想▲0.7%・7月▲1.1%を上回った(フィスコ)

 1)予想外の大幅プラス改善だった。

●6.米9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数30.7と、予想19・8月19.4を大幅に上回る

 1)同指数はペンシルバニア州東部・ニュージャージー州南部・デラウェア州の製造業をカバーしている。

 2)同指数は、ゼロを超えると経済の拡大を示す。(ロイター)

●7.米・先週分新規失業保険申請件数33.2万件と、予想32.3・前週31.2から悪化(フィスコ)

 1)申請件数の増加は、ハリケーン「アイダ」の影響による可能性が高い。(ロイターより抜粋
  「アイダ」は米メキシコ湾岸のエネルギー生産に壊滅的な打撃を与え、ルイジアナ州が停電に見舞われたほか、ニューヨーク州やニュージャージー州もこれまでにない大規模な洪水をもたらした。

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)9/16、上海総合▲49安、3,607(亜州リサーチ)
  ・中国政府による産業引き締めや、景気回復ペース鈍化への警戒感が依然としてくすぶっている。
  ・小売売上高や鉱工業生産などが予想を下回り、経済対策に対する期待感で買い先行したものの、株価上昇の勢いは続かず、失速した。
  ・業種別では、自動車が安く、不動産、ハイテクも冴えない。
  ・流動性リスクに直面する中国恒大集団の債務リスクが不動産業界全体に波及することが危惧されている。

 2)9/17、上海総合+6高、3,613(亜州リサーチ
  ・中国政府による経済対策の期待感が高まる。劉鶴・副首相は9/16に、「民営企業の健全な発展を促すため、支援を続けていく」と改めて強調した。中国国家発展委員会は、柔軟な景気対策と特別地方債の発行加速について再び言及した。
  ・もっとも、上値は限定的だった。中国政府による産業引き締めの広がりや、不動産業界を巡る債務リスクが依然として不安視された。9/20~21が中秋節の連休となることもあり、積極的な売買は手控えられた。
  ・業種別では、医薬・医療関連の上げが目立ち、発電・消費関連が買われた。反面、エネルギーや鉄鋼・非鉄など資源・素材が急落した。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)9/16、日経平均▲188円安、30,323円(日経新聞より抜粋
  ・朝方は前日の米株式相場の上昇を受けて買い先行したが、続かなかった。
  ・31年ぶりの高値圏まで上昇したこともあって、短期的な過熱感から利益確定売りに押されやすかった。アジア株安も投資家心理の重荷となり、下げ幅は一時▲300円を超えた。
  ・日経平均は8/20以来、急ピッチで3,000円超上昇していたため、「今日の下落はスピード調整の範囲」との見方があった。
  ・新首相の経済対策期待が高く、先高観から押し目買いが入り、相場を下支えした。

 2)9/17、日経平均+176円高、30,500円(日経新聞)
  ・8月末以降の急ピッチな上昇に、買い遅れた投資家の押し目買いが優勢となった。
  ・前日の米株市場で半導体株指数(SOX)が連日の最高値を更新していることを受けて、東京エレクやアドテストなど半導体関連銘柄の一角や、グロース株に買いが集まった。
  ・新型コロナの感染抑制による経済活動の再開や、新首相による政策対応への期待も相場を押し上げた。

 3)9/20、「敬老の日」祝日で休場       

●2.日本株、急ピッチ上昇の反動と米国株連動で、一服か

 1)日経平均は8/23⇒9/10で+3,368円高と上昇したが、外国人投資家の買いがあった。
          8/20 ⇒  9/10
   日経平均  27,013円  30,381円 +3,368円高・12.5%高
   外国人買い  2兆0,515億円(現物株+先物)の買い越し
 
 2)NYダウ・SP500は軟調局面、日本株は9/13以降米国株に寄り添い始める傾向強まる。
  (1)外資の先物買残枚数は低下傾向。
    9/08 170,718枚 ⇒ 9/16 152,431枚 ▲18,287枚減少・▲10.7%減少
  (2)日本株を個別銘柄でみると9/14にピークを付けている銘柄が目立つ。

 3)外資筋の先物買残高が125,000枚まで減少する可能性があり、しばらく日経平均は軟調に推移すると思われる。

●3.企業動向

 1)講談社    アマゾンと書籍で直接取引を開始へ(朝日新聞)
 2)ホンダ    半導体不足で8~9月国内生産台数は当初計画比約6割減(NHK)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6473 ジェイテクト   業績堅調。
 ・7956 ピジョン     業績堅調。
 ・8053 住友商事     銅取引に強み。業績期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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